涙色の感情
「ああ、覚えてくれてたのか」
彼は、私の隣の椅子に腰を下ろした。
私は、彼から少し離れた。
彼に、またときめいてしまいそうで怖かった。
彼に、恋をしそうで…-------。
「ここ(図書館)、好きなのか?」
「ええ、よくここ(図書館)には来ますね」
「俺も、よく来るから。石井さんのこと結構気になってたんだよな」
私に笑顔を向けながら彼は言った。
その笑顔を私は本で隠した。
胸が高鳴りそうで怖かったから。
もし、彼に恋でもして宮坂さんを裏切ってしまえば。
宮坂さんを悲しませたりでもしたら。
私は、目を強く瞑る。