涙色の感情

「桜?聞いてるの?」



「あっ、ごめん」



「最近ね、龍輝と一緒に帰ってるんだ」



背中に寒気が走る。



無駄な汗をかく。



「そ、そうですか。よかったですね」



無理に笑顔を作れない分、私は人より疲れる。



無表情のまま、唯そう言うだけしかできなかった。



幸い涙が流れないだけ有り難かった。



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