私、恋しました。




「菜々、こんなとこで何やってるの!帰るわよ」


「やだ!おうちやだ!」


「何を言ってるのこの子は、ほら」



彼女の母親らしき人は、嫌がる彼女をもろともせず、連れて帰った



そして10年経った今でも、彼女を見た瞬間目が止まった


入学式―――


誰もが輝かしい瞳で校門をくぐるなか


彼女の瞳だけ、どこか冷たかった




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