「大丈夫、逢いたくなったら空を見上げて」


空が蒼いなんて思ったことがない。

果てしなく続くこの道の先に、君がいるなんてそんなの信じない。

いつだってあたしはひとりぼっちだ。

モノクロの世界にはもう慣れた。

期待にも希望にも、胸は膨らまない。


…ただ、それでも覚えていたかったのは、忘れたくなかったのは

君という存在が、あたしにほんの少しの勇気というチャンスを与えてくれたこと。

白と黒しかなかったあたしの世界に、蒼を生んでくれた君は

もうこの小さな世界のどこにもいない。


―――――――――…
――――――――…

「…っけんなよ!
ちょっと優しくされたからって調子にのってんじゃねーよ!」

ドンッ、という鈍い衝撃が腰に響く。

痛みで立ち上がれないあたしを上から見下ろす女3人。その顔には狂気が浮かんでいた。

いつもあたしをのけ者にしていた奴らが急に呼び出してきたかと思えば。

…なんとなくこうなることは予想していた。

< 1 / 7 >

この作品をシェア

pagetop