「大丈夫、逢いたくなったら空を見上げて」
『優しくされた』だなんて、あの子は一体彼のどこを見ていたって言うの。
好きで好きでずっと彼を追っていたならわかるはずだ。
優しくされるどころか、あたしと彼は毎日同じ教室という空間にいながら、言葉なんて交わしたことなどない。
きっとあたしはストレスのはけ口に丁度よかったに違いない。
3年2組の教室の隅っこで、常に静かに目立たずひっそりと1日を過ごし、言われたことはなんでも飲み込んできたあたしは
日頃からとんでもないことを頼まれたり、クラスメイトからは一歩離れた距離にいたから。
「‥‥‥っざけんじゃねーよ!!!」
心から力強く叫んだ。
とっくに下校時間が過ぎた校舎に叫び声が響いていく。
悔しい。
‥どうして。
涙で滲みかけた視線の先に、『あけまして』の文字が微かに見えた。
「――‥‥‥っ‥‥‥、
あった‥‥‥‥‥」
安心感で頬が濡れていた。
それを手にとって、確かに彼からの手紙であることを確認する。