「大丈夫、逢いたくなったら空を見上げて」
大切な大切な。
あたしが生きるための勇気。
話すことなんて一生なくてもいい。
そばにいたいだなんてそんなわがままは言わないから。…だから。
この手紙だけは、あたしの手の中にあることを許して。
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「ただいまー…」
帰宅すると家には誰もいなかった。
キッチンのテーブルには、『夕飯は冷蔵庫から出して温めて食べてね』という書き置き。
…つまり、今日は帰ってこないってことか。
蛇口をきゅっとひねってグラスに水を注ぐ。
ほんの少量の水で喉を潤したあと、軽くグラスをゆすいであったところに戻し、自分の部屋へ向かった。
ベッドに勢いよく飛び込む。
そのままぼーっとしていると、いつの間にかあたしのまぶたはしっかりと閉じていたようだ。
夢を見た。
あたしが座る斜め前の席で、男女関係なく楽しそうに話を弾ませている彼。
もちろんクラスで孤立しているあたしは、自分からそこに向かうこともないし
誰かが呼んでくれるなんてこともあるわけがない。