「大丈夫、逢いたくなったら空を見上げて」
結局今日も、登校から下校まで誰かと言葉を交わしたり視線をぶつけたりすることはなかった。
担任ですら、クラスに興味がないのかそれともあたしにだけ興味がないのか、このことには完全に触れて来ない。
別に触れろなんて思ったことなんかないけど。
流行りのドラマみたいに黒板の前で“このクラスでは――…”なんて言ってくれた日にはもちろん担任ぶっ飛ばしてやろうと思う。
学校から家までの20分、ウォークマンで音楽を聞きながら、雲ひとつない青空を見上げて歩いていく。
こんなにも蒼いのに、どうしてあたしにはモノクロにしか見えないんだろう。
あたしはいつ色を失ったんだろう。もう、それすらも覚えていない。
校門を少し過ぎたところで、賑やかな男子の集団がこっちに向かってくるのが見えた。
うちの中学の制服。
――…真ん中には、君の姿。
友達と楽しそうに笑いあいながら歩いていた。
どこに行くの?
何をしてるの?
……どうして、あたしに年賀状を送って来たの…?