玉依姫
「神無…本気か?」
『あぁ。でなくば言うはずがなかろう。ここは神聖な場だ。言霊が何倍にも膨れ上がる』
「止めようよ、神無!!神無が手を汚す必要は無い、僕達が殺るか『虎太郎』」
神無は意を決した瞳で、三柱鳥居を見上げた。
『妾がやらねば、意味はない』
どうせ自分は罪の子だ。
玉依姫の力を奪い、この世に生を受けた。
ならば、今更罪の一つや二つ、被ったところで何になる。
『お前達、止めるなよ。妾の最後の願いだ』
踵を返し、神無は東ノ宮に戻っていった。