お嬢様と執事
*1*
出会い─


私にとって最も印象的な
“それ”は
突然というよりは割りと穏やかに

偶然ではなくむしろ必然に、

ただただ既に存在している運命に従うかのようにやって来た…



──

「ねぇ、あなた…そろそろ沙希にも執事を就けない?」


そう言い出したのは私の母 ─天川瑞穂─

「それもそうだな…

おい、柊、聞いていたか?」


そして返答しているのは天川財閥のトップであり、私の父でもある ─天川大五郎─

「ええ、もちろんですご主人様」


そして父の専属の執事 ─黒木柊─



「なら話が早い…

で…ちょうど良いのはいるか?」


「ちょうど良いのですか…

もう少し具体的に言っていただかない事には…」



「確かにな…

私が思うに

執事といっても話し相手みたいなものだ…
まぁ簡単な世話ができれば良い…

そうだなぁ…

いっそ同い年ぐらいでも…

どうだろう?」


「私は賛成ですわ、あなた」


「そうか、よかった
では、仕切り直して…

柊…誰かちょうど良いのはかいないか?」
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