″好き″が言えなくて
第一章 彼の存在
姉の死
お姉ちゃんが死んだ。
突然倒れて病院に運ばれたって。
私が病院に駆けつけたときには
もうお姉ちゃんの顔は隠されていた。
救急車を呼んでくれたのは
お姉ちゃんの彼氏だった。
お姉ちゃんの大好きな人。
そしてお姉ちゃんを大好きな人。
お姉ちゃんが息を引き取ったとき、
一番そばにいたのは彼、飯田直人くんだった。
まるで眠っていうようなお姉ちゃんの横で
直人くんは静かに涙を流していた。
そして小さな声でつぶやいた。
「 朋、ありがとな
4年間 本当に楽しかった 」
そういってお姉ちゃんに笑顔を見せた。
涙を流しながらも精一杯の笑みで。
よかった。直人くんがそばにいて。
よかった。彼氏が直人くんで。