″好き″が言えなくて





直人くんは、お姉ちゃんと幼馴染だった。

だから小さい頃から私も知っていた。


本当はその頃から直人くんが好きだった。

だけどお姉ちゃんには言わなかった。

愛し合うこの二人の間に入るのは
いけないと思ったから。

優しいお姉ちゃんがその事を知ってしまうのは
よくないと思ったから。


だから私は二人を憧れのカップルとして
見ているだけだった。

お互いのことをたくさん知っていて、
二人で同じ時間をいっぱい過ごしていた。

羨ましかった。


泣き腫らして、目を真っ赤にした直人くんは
もう何も考えてはいないように見えた。

なんとなく、お姉ちゃんを失ったことで
直人くんの何かが変わってしまいそうな気がした。

直人くんも優しい人だった。

私にもいつも微笑んでくれていた。

そのとき思った。
彼の支えになりたい…って、







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