あなたは誰と恋をする?《短編シリーズ》
暫く歩くと、目の前に砂浜が広がる。
水面がキラキラと光り、遠くの水平線がわずかに曲線を描いているように見える。
「こっち×2!!」
碧が指差した方には古い灯台があった。
「灯台??・・展望台??
でも、あれ入れないみたいだよ?」
灯台のまわりには柵がされていて中に入れそうはない。
「いいからいいから♪」
それでも、碧は強引にあたしの手を引いていく。
灯台に近づいて、あたしは息をのんだ。
柵にビッシリ繋がれた、ありえない数の南京錠。
よく見ると、南京錠には女の子の名前と男の子の名前が書いてある。
あ・・テレビで見たことがある・・・
「・・これって・・・」
「ここにカップルで南京錠をくっつけて、
その鍵を海に投げると、そのカップルは一生離れない・・ってやつ♪」
「・・・すご・・・い」
あたしはあまりにもロマンチックな話に感動して涙が溢れた。
「うわぁぁ!!泣くなって!!」
「だってぇ・・・なんか感動しちゃって・・・」
碧はあたしの頭をぽんぽんとしながら言った。
「・・・琴女、ほら♪」
ほらっと出した手のひらには、太陽の陽射しでキラキラ輝く南京錠があった。
「これ、昨日南京錠に一生懸命デコってきたんだぞ??」
「・・・碧・・・うぅぅ・・・」
あたしは涙が止まらない。
「おいで♪一緒につけようぜ♪」
碧はニカっと笑って、手を差し出した。