あたしの愛、幾らで買いますか?
温もりさえあれば、

あたしは強くいられる。

それだけでいい。

肌で感じる温もりは、裏切らない。

人間そのものは裏切るけれど。


「なぁ?」


あたしの席の前に笹井が座る。

彼の席はここじゃない。

もっともっと窓際の席だ。


「何よ?」


そう挑戦的に睨みつけるあたしに

彼は耳打ちをする。


「あとで音楽準備室いかねぇ?」


その姿にクラスの女子の視線が

突き刺さる。

あたしを睨むくらいなら、

告白ぐらいしろって言うの。

あたしに当たらないでよ…


あたしは笹井の誘いに簡単に乗る。

だって、ストレス発散したいもん。

『give&take』

そんな感じ。




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