あたしの愛、幾らで買いますか?
シートベルトをカチンと留めて、

朔羅の車は発進する。

彼の車の中は相変わらず

洋楽が流れている。

きっとラブソングなんだろう。


「……」


夜景を見ながら音楽を聴く。

車のヘッドライトとか

ビルの灯りがとても綺麗だった。


「あゆ?
 酔った?」


朔羅が心配そうに尋ねる。

あたしが静かだから心配になったみたい。


信号は赤。

あたし達は手を握り合って、

短いキスをする。


「よかった。
 まだ信号変わってなかった」


はにかみながら言う朔羅を

心底、愛おしいと思った。


「よかったね。
 後ろの車に怒られなくて」


そう言ってあたし達は

笑い合う。



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