あたしの愛、幾らで買いますか?
車は運よく、渋滞にも巻き込まれずに

あたしの地元に差し掛かってきた。

このまま家に着かなければいいのに…

離れたくないよ。


「あゆ?俺ここら辺わからないから
 ナビしてくれる?」

「え…?」


きっちりしているのか、

彼があたしと離れたいのかわからない。


「あゆ、これは道なりでいいの?」

「……」

「あゆ?」

「帰りたくない」


あたしがそう言うと、彼は困ったように

溜め息をつく。


「明日、学校でしょう?」

「朔羅と一緒にいたい」

「あーゆっ」


彼は、あたしの機嫌を取るように

あたしの名前を呼ぶ。


「朔羅と離れたくない」


と、あたしが言うと

彼が車を端に寄せて、止める。



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