あたしの愛、幾らで買いますか?
それでも、

朔羅に拒まれようと

あたしは彼を想う。


あたしは泣きながら、ヨロヨロと歩き

自宅までの道を歩く。

制服のポケットの携帯が震える。


【着信 サクラ】


携帯の画面に表示される名前。

あたしは、

一つ大きく息を吐いて、

通話ボタンを押す。


「…もしもし」

『あゆ?』


さっきとは違う、優しい声の朔羅。

彼の声を聞くだけで

止まりかけた涙が溢れる。


「うん。歩美だよ」

『今、どこ?』

「あと、少しで家…」

『そっか…』

「あの…朔羅…」

『ん?』

「さっきは…ごめんなさい。
 我が儘言って、
 困らせてごめんなさい」


勇気を振り絞って言った。

がっかりされるかな?

‘わかってるなら、言うなよ’

そう言われるかな?



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