あたしの愛、幾らで買いますか?
朔羅には、ただ


『一人にしないで』


と言われただけ。

好きだとも、愛してるとも

言われていない。

でもね、

あたしは朔羅が居てくれるだけで

いいんだ。

それでいいの。


しばらく歩いていたら、

細い路地に入る。

そうしたら、あたしの住んでいる

アパートが見える。

あたしは、朔羅の温もりが

消えてしまう前に眠りたかった。

朔羅の指に絡む髪だとか、

そういうものを忘れる前に

眠りたかった。


―夢で彼に会えたらいい。


そう願う。




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