あたしの愛、幾らで買いますか?
「笹井…」


あたしは喜びながら名前を呼ぶ。

それに答えるように

笹井は首筋に唇を這わせる。

笹井の首に絡まるあたしの腕。


人の体温はこんなにも

あたしを幸せにする。


ただ、笹井からの呼びかけは変わる。

あたしの目を色っぽい視線で見る。

そして、


『歩美』


と甘い声で呼ぶ。

どうして呼び方が変わるのかわからない。

笹井もあたしと同じで、

ただ温もりが欲しいだけ。


あたしたちに恋愛感情なんかない。

友情に恋愛感情なんてタブー。



< 12 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop