あたしの愛、幾らで買いますか?
おかしいな。

何も言ってないのに。

変なの…


『彼氏となんかあったか?』


電話の向こうで笹井が言う。


「彼氏…?」

『お前、彼氏出来たんだろう?
 結構噂になってんよ?』


朔羅は彼氏…?

じゃないよね。


「彼氏…じゃないんですよ」

『何で敬語だよ』


笹井が言った後にケラケラと笑う。

何故か、

あたしの胸の奥に冷たい風が

吹いた気がした。


「彼氏じゃないんだよね」


そう言って、あたしは

乾いた笑いを吐き出す。


『彼氏じゃねーの?
 この前校門で
 抱きついてたじゃん?』

「彼氏ではないけど、
 好きな人。
 あたしが勝手に好きなだけ」


そう。

あたしが勝手に好きなんだ。

朔羅は寂しさを埋める為だけに

あたしに会うのだ。

そして、

時々触れる。


少し前の、あたしみたい。



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