あたしの愛、幾らで買いますか?
朔羅にメールを送って

20分ほど経っただろうか?

実際は、もっと長い時間待ったかな?


彼からの返事はない。

…と思っていたけれど、

しばらくして携帯が無機質な音を立てる。


あたしは携帯を握り締め、

溜め息を零してから

画面を覗き込む。


―カチ…


【送信者:サクラ】


彼からの返事だ。

待った甲斐があった。

そんな気がした。


【ごめん…
 明日、早いんだ】


それだけだった。


「そっか…」


目の前に朔羅は居ないのに

あたしは彼に

話し掛けられたかのように、

返答の言葉を口にした。


きっと仕事だろう。

仕方がないよね。

彼が、どんな仕事を

しているかなんて

知らないけれど。



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