あたしの愛、幾らで買いますか?
あたし達は電車に乗るわけではなくて

ひたすら歩いた。

笹井が、あたしの歩調に合わせてくれる。


きっと、これが朔羅なら嬉しいのだろう。

だけど、

今隣にいるのは朔羅ではない。

少し違和感があるけれど大丈夫。

笹井の隣も案外居心地がいい。


どの位歩いたのだろう。


―キィ…


笹井が門を開ける。

少し大きめの一軒家。

初めて見る笹井宅。


立派な家に住んでるんだ…


「どうぞ」


玄関のドアを開けて、

あたしを入れてくれる。


「…お邪魔します」


あたしは借りてきた猫のように

大人しく小さくなって家に入る。

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