あたしの愛、幾らで買いますか?
トントントンと階段を上る。

笹井の背中を追うあたし。


「俺の部屋汚いから、
 覚悟しとけよ?」


笑いながら言う笹井に

あたしも笑い返す。


「別に期待してないから」


あたしは笑いながら言う。

彼はドアを開けて


「どうぞ」


と言ってあたしを招き入れてくれた。

彼の部屋は言うほど汚くなかった。

というか、

ほとんど何もない部屋だと思う。

無機質というか何というか。


「なんか飲みたいものある?」

「んー?別に
 任せるよ」

「そっか。
 適当に座ってて」


そう言って上がってきたばかりの階段を

彼は軽快に下っていく。


ここが

笹井の部屋。



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