あたしの愛、幾らで買いますか?
「とりあえず食おうぜ!」


そう言ってバリバリと袋を開ける笹井。

あたしは、その仕草を見つめるだけ。

少しだけ朔羅と重ねながら…


笹井が持ってきたスナック菓子は

チーズ味のもの。

歯にくっついたり、

指先にチーズのパウダーが付くけれど

とても美味しい。

飲み物は渋めの烏龍茶。


「俺、炭酸飲めねぇんだよ」


彼は、そう言ってた。

あたしは、それを聞いて

クスクスと笑っていた。


笹井がジっと見つめてくるから

あたしは思わず視線を逸らす。

そして、

ポツリとあたしに言葉をかける。


「少し落ち着いた?」


その声があまりにも温かくて

あたしは、

また泣きそうになった。


< 186 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop