あたしの愛、幾らで買いますか?
「ふぅん…」


あたしは憎たらしく言ってみたけど

本当は嬉しかった。

朔羅みたいに

髪を撫でてくれるわけではないのに、

笹井の行動一つ一つが

温かく感じる。


あたし、

優しさに飢えてるのかな?


「笹井…」

「ん?」

「ありがとう」

「なんだよ…
 改まって。
 気持ちわりぃなぁ~」

「五月蝿いっ」


そんなやり取りをしているけれど

心が少しずつ解けていく。

凍っていたものが

解けていくのを感じた。


コンと半分ほど飲んだホットミルクの

カップを机に置いた。

テーブルに頬杖をついて見つめる

笹井。


「何よ?」

「いや?
 安藤ってアレみてぇ」

「アレって?」

「捨て猫」

「捨て猫って…」


少し凹んだ。

猫ならまだしも


‘捨て猫’


だったから。

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