あたしの愛、幾らで買いますか?
どうして?

なんで?

どうして、あたしは今

笹井と唇を重ねているのだろうか?


そんな風に自問自答している自分が

とても滑稽で仕方がない。


たった数秒の短いキス。

笹井は苦しそうに言った。


「お前、
 本当にあの男が好きなの?」


たぶん、笹井の言っている

‘あの男’は朔羅の事。


あたしは小さく俯きながら頷いた。


「そっか」


笹井は呟いた後、

また唇を重ねてきた。

今度は深くて長いキス。


あたしは気が付いたら

笹井の首に腕を回していた。


それが何を意味するかって?


【このキスが通過点に過ぎない】


という事。


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