あたしの愛、幾らで買いますか？

しばらくして、駅に到着して

あたし達は電車に乗り込む。

笹井の行き先は学校、

あたしの行き先は自宅。

だから、二駅目であたしは下車をする。

電車の中では、お互い喋る事もなかった。

誰が見ているかわからないから、

あたしはわざと笹井とはぐれた。

車両は同じだけれど、

あたしは遠くの方へと行った。


『間もなく●●駅、●●駅』


車内アナウンスが、

間もなくあたしが降りるべき場所を

知らせてくれる。

あたしは、少しだけ混雑している車両を

移動して、笹井の前を通過する。

何事もなかったかのように

その場から立ち去る。


―プシュッ…


あたしが降りてすぐに

背中の方からドアが閉まる音が聞こえた。