あたしの愛、幾らで買いますか?
「お腹痛いの?保健室行けばぁ?
 っていうか、帰ればぁ?」


いつの間にかあたしの周りには

百合子の他に取り巻きの女子達が数人、

あたしを囲んでいた。

百合子はあたしと

同じ目線のところまで腰を折り、

挑発するような目でこう呟いた。


「ていうか、死ね」


死んでたまるか。

あたしは百合子に迷惑かけていない。

なのに…

なんで?

そこまで言われなきゃいけないんだろう。


大きく息を吸って、

あたしは有りっ丈の力を振り絞って、

百合子を突き飛ばした。


「いったぁい!何すんのよ!!」


百合子の大声が教室に響く。

あたしはカバンを持って、

駆け足で教室を出て行く。

あたしの背中には

百合子から発せられる罵声が突き刺さる。


大丈夫。

大丈夫。

癒さなきゃ。

挫けそうな心を折らないように…

癒さなきゃ。

触れ合わなきゃ…―。







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