あたしの愛、幾らで買いますか?
2章 みんな他人
ガタンガタンと電車に揺られる。

何も考えないでボーッとしてるだけ。

時折、携帯が震えたけれど、

クラスメイトの【友達】という呼ばれる

薄っぺらい人からだった。

友達なのに、

あの時は見てみぬフリをしていたのに。


【大丈夫?】


そんな言葉が異様に腹立たしい。

ムカつくから返信はしていない。

どこで百合子と繋がってるかわからない。


「はぁ~…」


深く溜め息をついて、携帯をしまう。


「ねぇねぇ~」


電車の座席に座っていると、

ちょっと若い軽そうな感じの男の人が

あたしに声をかけてきた。

お金なさそうだなぁ…。


「君さぁ?可愛いよね~。学校は?」

「ダルかったから…」

「いけない子なんだね」


その人は隣に座って、続けてこう言う。


「俺といけない事しない?」


何のことかすぐにピンときたけど、

あえてとぼける。


「いけないことって?」

「ココじゃ言えないよ~」

「言えない事ならお断りだよ」

「大丈夫。クスリ系じゃないから」


なんだ、クスリ系じゃないんだ。

じゃあ、いいかもしれない。

変なオッサンに抱かれるより、

若い人のほうがいい。


「じゃ、幾らくれるの?」


あたしはきょとんとした顔で質問する。




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