あたしの愛、幾らで買いますか?
「それは君次第かな?」


こいつ…

慣れてるかもしれない。


「あたし次第?」


わざととぼけてみた。

そうしたら、

その人はチェーンの長いロザリオを

ぶら下げて耳打ちしてきた。


「ホテルで君が俺に、
 どう奉仕してくれるか」


首からロザリオをぶら下げておいて、

そんな事を言うなんてイケナイ人だなぁ。

だけど、嫌いじゃない。

あたしの震えてる手を止めて欲しい。

その温もりであたしを

満たしてくれるなら何でもいい。

その少しだけスパイシーな香水の香りで

狂わせて欲しい。


あたしは目を合わせながら頷く。

言葉を交わすだけの契約が完了した。






< 24 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop