あたしの愛、幾らで買いますか?
「やぁだぁ~」


あたし達の背後から、

あたしをイラつかせる声が耳に入る。

あたしは気にしないように、

気にしないように

耳を傾けないようにして

エリとの会話に励む。


だけど…

百合子の声はいとも簡単に

あたしの耳へと届いてしまう。


「ねぇ、笹井くん、
 今日この後どうする?」


あたしは耳を疑った。

ビックリして思わず後ろを見てしまった。


見なければ良かった。


そう思った。

笹井の腕に絡まる百合子を

見たくなかった。


ねぇ、笹井。

あんた百合子の事嫌いだって

言ってたよね?

なんで百合子は今、

あんたと腕を絡めるように

手を繋いでいるの?

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