あたしの愛、幾らで買いますか?
きっと百合子は知ってたんだ。

あたしが笹井達を見た事。

だから、

百合子はわざとらしく

言ったんだと思う。


「ねぇ、笹井くん
 今日はゆりと笹井くんの
 記念日だねっ」


嬉しそうで、今まで聞いた事のない

百合子の最高の猫撫で声。


…なぁんだ、

そういう事か。

笹井、

あんたも百合子に落ちたんだね。

少し幻滅するよ。


あたしは

もしかしたら

笹井の隣を無意識のうちに

居場所だと思ってたんだね。


百合子たちは付き合い始めたんだと

あたしは気付いた。

だから、

今朝

笹井は百合子の席の近くに居たんだね。


点と点が少しだけ繋がった気がした。

< 245 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop