あたしの愛、幾らで買いますか?
夕日が差し込む教室に

あたし、一人だけ居る。

教室にかけてある

丸い時計の音がやけに大きく聞こえる。


―カッチ…カッチ…


一秒一秒の感覚が、

とても大きく感じる。


あぁ、

これがあたしの時間の過ぎ方なのか。

人が居ないだけで

こんなにも時間が経つのが遅いのか。


「やぁだ~
 瑛斗ってば」


学校の廊下は良く響く。

生徒が少なくなった放課後なら

尚更。

だから、

あたしの大嫌いな百合子の笑い声が

良く響く。

百合子の声に乗って

笹井の名前が呼ばれる。


「ゆりの家来る?
 今日ねー…」


百合子の言葉の途中で

彼らは教室へと入ってくる。

…腕を絡めながら。

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