あたしの愛、幾らで買いますか?
少しだけ空気が張り詰めたと思う。

固まる笹井、

あたしと視線が合う百合子、

百合子からの視線をパッと外す

あたし。


今の百合子はきっと

勝ち誇った表情をしているのだろう。


「今日、
 家、だぁれも居ないの。
 だから、瑛斗…」


あたしは、

その言葉をさえぎるかのように

ガタリと音を立てて、

瞬時にカバンを持ち

教室を立ち去った。


どうしてチラチラと視界に入ってくるの?

何の嫌がらせ?

百合子、

笹井の事、手に入ったでしょう?

もう、いいじゃない。

二人で消えてよ。

あたしの前から居なくなってよ…―。

家に連れ込むなら勝手に連れ込んでよ。


あたしの鼓動は走っている所為か

とても早くなる。


朔羅…

朔羅……


早く会いたい。


手が軽く震えているけど

きっと気の所為だ。

そう思わないと

やってられないんだ。

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