あたしの愛、幾らで買いますか?
少しだけ心を躍らせて、

あたしは

甘い甘いコーヒーを待つ。


しばらくして、受け渡し口から

あたしの注文した

マシュマロミルクモカが

ポックリとしたシルエットのマグカップに

入って出てきた。

ぷかぷかと浮く

マシュマロとホイップクリーム。

あたしは早くそれに口を付けたくて

静かに、

だけどいそいそとソファーの席へと戻った。


コトンとマシュマロが乗ったコーヒーを

零さぬようにと

あたしは丁寧に低めのテーブルに置く。


「はぁ…」


体中に溜まった悪いモノを

吐き出すかのように、

あたしは深い深い溜め息をつく。


そして、

温かいカップを手に取り

口へと運ぶ。


コクンと喉を鳴らして

一口飲む。

甘い。

少しだけトゲトゲしていた心が

ほぐれたような気がした。



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