あたしの愛、幾らで買いますか?
あたしの体は催眠術にかかったみたいに

固くなる。

朔羅から離れようと思えば

幾らだって離れられるのに。


それなのに…


「傍に居たいって願うのは
 いつも、俺ばっかりなんだね?」


彼から出た言葉が素直に嬉しかった。

嘘だったとしても

それでも嬉しかった。

彼から紡ぎだされた言葉は

あたしにとっては

全てが‘ホンモノ’だから。


「朔羅…
 朔羅も傍に居たいと思ってくれたの?
 歩美の傍に居てくれるの?」

「当たり前だろう」


そう言って、彼はまた

長い長いキスをくれた。

さっきよりも長い長いキス。


そのキスが終わったら、

彼は体勢を整え、再びアクセルを踏む。

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