あたしの愛、幾らで買いますか?
あたしは彼の背中に手を回して

きつく抱き締め返した。

そして、

こう言った。


「朔羅。
 あなたは滝川春人なの?」


あたしの心臓は大きく飛び跳ねる。

明らかにときめきとは違う飛び跳ね方。

恐る恐る彼の目を見る。


「さく…ら?」


彼の瞳は何故か寂しそうだった。

あたしは殴られると思ったから、

少し拍子抜けしてしまった。


「朔羅?
 変な事聞いてごめんね…
 でも、
 どうしても聞きたかったの」

「あゆ…
 ここで話すのもアレだし…。
 俺の部屋行こう?」


あたしはコクリと頷いて

彼の手をギュッと握った。

絶対に解けないようにきつく握った。


そして、

朔羅はあたしの手を














ギュっと握り返してくれた。

たった、それだけの事なのに

あたしは

涙が出るほど嬉しかった。

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