あたしの愛、幾らで買いますか?
突然やってきた沈黙。

部屋にある時計の針が動く音が響く。


「あのね、朔羅…」


あたしの言い掛けた言葉を遮るように

朔羅が喋りだす。

ゆっくりと丁寧に言葉を紡ぎだした。


「あゆは俺の事好き?」

「うん」

「どんな事があっても?」

「うん」

「そっか…」


その短い会話の後に、

また沈黙がやってきた。

沈黙というか、

朔羅が大きく息を吐く為の

間だったのだと思う。


「あのね、歩美ね
 今日雑誌見たんだ…」

「あー…
 そうなんだ」

「あれって…」


肝心な事が口から出てこない。

なんて臆病者なんだ、あたしは。

彼はこれから

仕事に行かねばならないのに…。

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