あたしの愛、幾らで買いますか?
こういう事をするのは

今日が初めてじゃない。

何回目と聞かれると

回数は定かじゃない。

ただ一つ言えることは


‘少なくない’


ということ。

今更、


【援助交際】


なんて聞いたところで


『何年前の話?』


と首を傾げる人もいるだろう。

ただ、

あたしは温もりを求めるだけ。


「どの部屋にしようか?」


ホテルのフロントで

あたしに部屋を促す。

正直どこでも良かった。


「どこでもいいよ」


真っ直ぐ向いたまま応えるあたし。

補導員に見つかりたくないから

早く部屋に入りたかった。

そして、早く触れ合いたかった。


―カチャ…


おじさんが鍵を開けて

あたしと一緒に入る。


「綺麗な部屋だね」

「うん」


今日、出会ったばかりのあたし達の会話は

この程度。




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