あたしの愛、幾らで買いますか?
朔羅は確かに穏やかだ。

でも、

あたしの体に出来たアザは

消えることはなかった。


一つ薄れ

一つ出来て

また一つ薄れて

また一つ出来る


朝、シャワーを浴びるたびに

鏡の前でアザの確認をすることが

日課になってしまった。

他人が聞いたら、

可哀相な習慣と言うだろう。

あたしは、アザを数えるという行為は

悲しい出来事なんかじゃない。


彼が残してくれる

愛の印なのだから。


あたしが愛されていると実感する

唯一の印。



< 312 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop