あたしの愛、幾らで買いますか?
愛している人と

一緒に幸せを築きたいと密かに願う。

その願いは叶うかな…


その時、彼がバスルームから

リビングへ戻ってきた。


「お先。
 あゆシャワー浴びる?」

「…うん。
 浴びようかな」


あたしは彼のプライベートルームへ移動し、

下着や彼があたし用に買ってくれた

ピンクのふわふわのバスタオルと

ワンピースのルームウエアを取りに行く。


「あ。そうだ」


彼が思い出したように言った。


「俺、今日帰り遅くなるかも」

「撮影?」

「そう。
 んで、その後打ち上げするっぽい。
 共演者が誕生日だから
 サプライズパーティーだと…」


彼は面倒くさそうに溜め息をつく。


「じゃあ、今日は車で行かないの?」

「いや?
 俺、19歳だから
 酒も煙草もやらせてくれないの…
 煙草吸っても
 酒飲んでもいいとは思うけど、
 週刊誌に売られたら
 事務所の人たちに迷惑かかるから…」


あたしと写っていた写真が掲載された事で

彼の周りの大人達が

ピリピリしているらしい。


「‘滝川春人’ってやつは
 清潔感が売りなんだと」


朔羅は自嘲気味に煙草の煙を

吐き出しながら呟いた。






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