あたしの愛、幾らで買いますか?
終わったら男は煙草をくわえて

火を点ける。

ジッポから揺らめく火が印象的だ。


「なぁ…」


普段、終わった後は

そそくさと着替えて、

帰ろうとする男が多い。

珍しくベッドの中で

まったりするあたしたち。

煙を吐きながら、

声をかけてくる男に驚いた。


「何?」

「名前、なんていうの?」

「なんだっていいでしょ…」

「俺はねー、朔羅」

「…サクラ?」

「そう」


別に聞いてないのに、名前なんて。

興味なかったのに。


「俺、名乗ったよ?
 教えてくれても良くない?」

「あゆ…」


思わず名乗りそうになった。

朔羅と名乗る男の瞳に、

吸い込まれそうになった。

その勢いで名前を言いそうになった。





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