あたしの愛、幾らで買いますか?
―PPPPP…


リビングに鳴り響く無機質な音。

あたしの携帯の着信音だった。

少し気を失っていたのだろう、

その音にハッとした。


あたしはヨロヨロと立ち上がり、

リビングへと移動する。

着信音は10秒ほどで鳴り終った。

きっとメールだろう。

大して気にも留めずに、

あたしはキッチンへ移動して

二人分の朝食の支度をする。


初めの頃より手際は良くなったと思う。

相変わらず簡単な朝食だけれど。


ベーコン入りスクランブルエッグと

トマトが入ったサラダと

焼いただけの6枚切りのトースト

そして、

冷蔵庫に入っているヨーグルトを

小さな器に取り分ける。

上にはメープルシロップを少しかける。

栄養ありそうだし、

肌にもよさそうだし。


‘今日も頑張ったね’


と少しでも朔羅に誉めて欲しいから、

あたしは料理だって

苦痛になんか思わなかった。



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