あたしの愛、幾らで買いますか?
「あゆ?」


名前はバッチリと

朔羅に聞き取られていた。

彼は思い出したように、

ボクサーパンツ一丁で、

彼のデニムのポケットから財布を取り出す。


「はい」


何枚かの紙切れを、

ベッドで横になるあたしに手渡す。


イチ…

ニ…

サン…


今日の


‘あたしの愛’


の値段は三万円だった。

過去で2番目に低価格。

その数を数えるあたしに、朔羅は


「あゆってさ、
 お金が目的で
 セックスしてないでしょう?」


突然言われた言葉だった。

ビックリした。

そんな事初めて言われた。


「なん…で?」


あたしは小さな声で、聞き返す。




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