あたしの愛、幾らで買いますか？

あたしは洗面所へ移動して、

シャワーを浴びている朔羅の様子を

すりガラス越しに伺う。

やけにシャワーの音が

大きく聞こえるのは、

あたしがきっと身構えているから。

この後、彼がどんな顔をしているか

予測が出来ないからだと思う。


―ザァー…


あたしは、洗面所のカゴに

柔軟剤でふわふわした

真っ白なバスタオルを用意しておいた。

あたしの大好きな柔軟剤。

いつか、あたしが


「この匂い好きなんだ」


そう言ったら彼も


「本当だ。
　いい匂いだね」


そう言ってくれた。

それから、この柔軟剤を使っているのだ。

ふわふわの白いバスタオルは

お風呂上りの柔らかい肌を

傷付けそうにもないと思うから…。