あたしの愛、幾らで買いますか?
【大丈夫か?】


まず、はじめに書いてあった文字は

それだった。

何が?

と思い読み進めていくと、

どうやら、

あたしが学校に行かないから、

ありもしない噂が一人歩きしているらしい。

笹井からのメールは

その真偽を確かめるものだった。


でも、

あたしは、それに返事はしなかった。

もしかしたら、百合子にそそのかされて

あたしに連絡を取ったのかもしれない。

もしかしたら、笹井の携帯を使って

百合子が打っているのかもしれない…

疑ったらキリがなかった。


「誰?笹井って」


あたしの、すぐ後ろで上半身裸で

髪を拭いている朔羅が

ソファ越しに覗き込んでいる。

心臓が止まるかと思った。

それ位驚いた。


「誰?笹井って」


彼は同じ事を、もう一度言った。

甘さなんかちっとも無い

低い低い闇のような声。

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