あたしの愛、幾らで買いますか?
「え…?」


恐る恐る振り返ると

そこには、

さっきと同じ目つきをした彼が居た。


「え?じゃねーよ。
 誰だって聞いてんの」


徐々に強くなる朔羅の口調。


「が、学校の…
 クラスメイト…」


あたしは、

そう答えるのが精一杯だった。

彼はあたしの手から

携帯を取り上げ、

親指でカチカチと弄る。


「クラスメイトねぇ…
 男じゃねーかよ!」


あたしに向かって投げられた携帯は

上手い具合にあたしの肩にぶつかった。


「いたっ…」

「俺、今日機嫌悪いの。
 今日のお前ムカつく。
 喧嘩売ってんの?」


彼の目の奥には温かさとか

愛は一切感じられなかった。

憎しみに似たような色をしていた。

黒い黒い感情が渦巻いているようだった。

< 333 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop