あたしの愛、幾らで買いますか?
もぞもぞと布団から腕を伸ばす朔羅。

その姿がとても愛らしくて、

胸がキュンとする。


「ん~…」


今日は凄く寒い所為か、

彼の目はなかなか開かない。

あたしはベッドのフチに座り、

彼に優しく声をかける。

とびきりの甘い声で。


「朔羅?
 アラーム鳴ったよ?
 今日は11時に現場なんでしょう?」


布団から覗かせている額に、

あたしは唇をくっつけた。

そうすると、朔羅は起き上がり

あたしの髪をクシャっと撫でる。


「おはよう。あゆ」


よかった、いつもの朔羅だった。

いつからだろう…。

彼の目覚め方に、

こんなにも緊張するようになったのは。


「おはよう。
 今ね、コーヒー入れてるから
 先にお風呂入る?」

「おう、そうするわ」


丁度いい睡眠を摂ったのだろう。

彼はシャキっとしてバスルームへ向かった。



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