あたしの愛、幾らで買いますか?
彼がシャワーを浴びている間に、

あたしは朝食を作る。

今日は、昨夜のお味噌汁が残ってるから

和食にしよう。

サラダは忘れないように。

あとはハムエッグを作ろう。

卵焼きのほうがいいかな…?

ここで生活をするうちに、

朝食のレパートリーが増えた気がした。

密かに料理本を買ったりしていた。

彼の


『美味しいよ』


その一言が聞きたいが為に頑張るのだ。

夕飯は一緒になることは滅多にないから

朝の時間が大事なんだ。


―トン、トン、トン


軽快に包丁で野菜を刻む。

包丁の音も日を追うごとに

早くなっていく。

最近では、指を切ることもなくなった。


この時、

‘無駄な努力なんて無い’

と言う事を知った。


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