あたしの愛、幾らで買いますか?
少しだけ目頭が熱くなったけれど、

あたしはグッと堪えた。

泣くのは、

それが現実になった時にしよう。


「食べよう?」


あたしが朔羅に問いかける。

彼は


「そうだね」


と答えて、定位置に座る。

彼がテレビのリモコンを手に取り

チャンネルを変える。

彼は、

芸能関係のニュースを見たくないから

芸能ニュースのコーナーになると

チャンネルを度々変えるのだ。


「あゆ、学校は?
 最近全然行ってないじゃん?」


あたしは小さく体を強張らせる。


「あゆ?」


あたしの小さな変化に

彼は心配そうな表情を浮かべる。


「あのね…あたし、
 学校、辞めようと思って」

「ふぅん…」


彼の意外な反応に戸惑った。

正直、怒られると思ったから。




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