あたしの愛、幾らで買いますか?
「いいんじゃない?
 あゆが考えて出した結論なら」


そう言って、彼は綺麗な箸使いで

白いご飯を口に運んだ。


「だからね、今日
 家に顔だそうかと思って」

「そっか。
 お母さん達も
 心配してるかもしれないしね」


心配ね…

してようが、してまいが

あたしには関係ない気がする。


「まぁ、一応学費払って貰ってたし
 学校にも書類出さなきゃいけないから」


かちゃかちゃと食器達の音が

大きく聞こえる。

少しだけ穏やかな沈黙。


「じゃ、仕事終わったら
 家まで迎えに行こうか?」

「ん~…」


あたしが迷っていると

彼がこう切り出した。


「迎えに行くから、
 待っててな」


少し強引だったけど、

あたしは笑顔でコクリと首を縦に振る。

あたしの笑顔につられた様に

彼も目を優しく細める。

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